8月に読み終えた本の中で印象的なのは2作品でした。
ネタバレまくりの感想です。
様々な匂い(または臭い)を想像しながら読んでいきました。
うっとりするような香りもあるし、ウエッ!っと吐き気が込み上げてくるような臭いもあり・・・。
朔の『紺色の声』というのがとてもステキな表現だなあと思いました。
嘘の臭いすらかぎわけてしまう(嘘をつくことで体から発せられる汗とかそういうものの臭いでわかってしまうそうです)朔の苦悩は計り知れないけど、一香と出会えて本当に良かったと思いました。
執着と愛情の違い。
美容師の髪の毛への執着はとても怖かったけど、自分が愛情だと思っている感情がただの執着心で、その美容師の執着心と同じなのかもしれないと思うと、朔が前に進めないでいるのも理解できる気がしました。
個人的には、私も朔が調合したすべての生活用品に囲まれて生活してみたいです。
すごく健康的になれそうな気がするので、私は一香が思わず羨ましくなりました。
まさかの源さん!ステキです!
朔と一香は幸せになるんだろうなあ(なって欲しい)と想像しながら読み終えました。
好きな本が増えました。
幼い更紗が保護されたときに
「文は何もしていない!やったのはイトコだ!」
と叫べていたら何かが変わっていたのでしょうか。
更紗の母は更紗目線ではあたかも良い想い出のような感じで書かれていますが、娘を捨てるなんて全くもって共感できないし、身勝手すぎて正直吐き気すら覚えます。
文の母も更紗の母とは違うけどやっぱり自己中心的で身勝手です。
安西さんもいい人なのかも知れないけれどちょっと・・・。
この作品、いい母親が全く出てこないデス(あくまでも私的には)。
あと、更紗の恋人・亮の存在に心の底からゾッとしました。
『可哀想な恋人を守ってあげている』みたいなヒーロー感に酔いしれて、自分の恋人が自分の思うように動かなければ感情にまかせて暴力を振るう・・・。
そして、前の恋人にも暴力を振るっていたことを家族ぐるみで隠蔽とか・・・(親戚が教えてくれて良かったです)
さらに更紗と文を徹底的に引き離そうとする始末・・・。
最低中の最低!もうホントに気持ち悪っ!大嫌い!
亮に対しては嫌悪感のみしかありません!
亮のすさまじい妨害もすごかったですが、更紗と文の前にはありとあらゆる人が立ちはだかってきます。
今までもずっとそうだったし、きっとこれからもそうなんだと思います。
でも、この2人はどんな事があろうと一緒に居ることができさえすれば、それがどこであろうが何をしていようが幸せなのではないかと思うのです。
それって、めちゃくちゃ幸せな事なのではないでしょうか?
それにしても、文の喫茶店の名前には思わず「!!」ってなりました。
更紗がもっと早く『calico』ってどういう意味なんだろ~って調べたら良かったのに!!笑
(まあ、私も小説内で意味を知って「わぉっ!」ってなったので、調べない更紗にはなにも言えない立場ですが・・・)
とっても心に残ったステキな本でした。
こちはら近いうちに再読したいです。
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以下の本も読みました。
どんな話だろうと思っていたら、 アルコール中毒の父親に苦しめられていた主人公の千映が、結婚した夫の宇太郎もアルコール中毒になってしまうのではないかという深酒ぶりで・・・という話でした。
父親側からの内容もあったのですが、それでもアルコール中毒になって周り(というか妻と娘の千映)に迷惑を掛けるのはとんでもないことだし、この父親の症状に心底ゾッとしました。
アルコール中毒ってこんな風になるんですね。
はっきりいって、千映が父親のことも、子供が小さいのに深酒して帰ってくる今の宇太郎のことも許せないのも当然だと思います。
私なら『許せたらいいのに』なんて、天地がひっくり返っても思わないと思います。
父親のことはもうどうしようもないとしても、千映と宇太郎の関係は修復できていくような感じで終わって本当に良かったです。
この物語の聞き手として久乃がずっと存在しているのですが、読み終えた後「この小説の主人公って結局誰だったんだろう・・・」って気持ちになりました。
久乃が色々な人達にインタビュー形式で話を聞いていくんですが、その話し手達が・・・もうみんな悉く共感できない人達で、なかなか読み進められず困ってしまいました。
話は本筋とはそれますが、久乃の元恋人が久乃と見た星空の思い出にちなんだ名前を、奥さんとの間の息子に名付けたというエピソードがあって、それは心底ゾッとしました。
私ならそんなことされたら一生許せないし、充分離婚原因になります。
話し手たちからの情報で、徐々に自殺した有羽とその母親(育ての親)のことが分かってくるのですが、本当に可哀想だと思いました。
有羽の生みの母親の千佳は、とても美しく優しかったのですが、病気で亡くなってしまう間際、どうしても夫の不倫相手が自分亡き後に後妻に収まるのが許せなくて娘の有羽を利用します。
娘のためでもあったのかもしれないけど、・・・怖かったですね。
結果的に、有羽は沢山の大人達にすごく苦しめられてしまった。
一番救われて欲しい人が救われない内容だったので、悲しさとむなしさののこる小説でした。
タイトルのクスノキは『となりのトトロ』のクスノキのイメージで読み始めました。
「祈念と祈願の違いって?」って確かに私も思ったけれど、この作品の場合は正に『念』を使うべきだなと納得です。
全ての思考を預念してしまうなら、私は絶対に預念できないとおもいました。
日記を見られるより恥ずかしいと思うし、それでも預けていった人達って本当に凄いと思います。
千舟さんの後悔を生きているうちに受念できた玲斗は幸せかも知れないですね。
この小説の中にでてくる『柳澤ホテル』みたいなホテルは私も泊まってみたいです。
続編とかあるのでしょうか?続編ができそうな内容はあるんですけどねえ。
この4連休は、読書はお休みして、マンガを主に読んでいます。
お墓掃除は終えたので、残り2日間はゆっくりゴロゴロ過ごしたいです。